こんにちは。フォレスト出版編集部です。
連日、このブログの場を借りて、『努力不要論』の著者・中野信子先生へのミニインタビューを掲載しております。
乃木坂46の生駒里奈ファンに見る努力の悲劇――『努力不要論』中野信子先生インタビューVol.1http://forestpub.com/archives/52160532.html
なぜ、スポ根漫画の主人公は汗をかかなくなったのか?――『努力不要論』中野信子先生インタビューVol.2http://forestpub.com/archives/52160669.html
本日は3回目。
『努力不要論』では、努力には「報われる努力」と「報われない努力」があるとし、次のように「報われる努力」について説明しています。
では無駄な努力、報われない努力をしないためにはどうすればいいのでしょうか?言い換えれば、報われる努力の方法とはどんなものなのでしょうか?答えはとてもシンプルです。目的(目標)と、それを達成するための戦略を立てる。そして、タスクを一つひとつ処理していくだけです。(中略)真の努力というのは本来、成果を出すために必要な①目的を設定する、②戦略を立てる、③実行する、という3段階のプロセスを踏むことです。――本文より
以上のように、「②戦略を立てる」の有無が報われるかどうかの要諦ということでした。

ただ、より多くの「報われた!」「やった!」という幸せ感情、報酬を得るためには、「①目標設定」をどうすればいいのか?

これは本書の中でも触れられていない疑問なので、中野先生に聞いてみました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
編集:
どうせ努力をするのであれば、やっぱり報われたいと思うのは人の常だと思いますが、報われやすい目標設定のコツはありますか?
中野先生(以下、敬称略):
コツはありますよ。
ただ、まずはどのようなときに、人は「報われた」と感じるかについて考えてみてください。
編集:そうですねえ……。私の場合は、やっぱりこういう仕事をしているので、つくった本がベストセラーになってくれたら「報われた!」と思いますね。
それも思い入れがあって苦労した本だったらなおさらです。棚ボタじゃないですけど、全然期待していなかった本でも、やっぱり売れればうれしいですけどね。
中野:
今はベストセラーを出すのは昔よりも大変だって聞きますからね。
編集:そうなんですよ。ビジネス書だと「3万部売れればベストセラー」なんて言われるくらいにハードルが下がりました。下がったと言ってもこれがまたなかなか越えられない壁なんですが。
中野:
おっしゃるとおりですね。当たり前ですが、すぐに達成できてしまう目標であるほど、報酬の反応は弱くなります。だから大きな「報われた感」を得るには、適度なストレスをかけ、自分が何かを成し遂げたという実感を得なければなりません。すると、ようやく脳の報酬系が大きく活動するようになります。
編集:
目標が大きければ大きいほど、達成できたときのうれしさも大きいのは想像出来ましたが、脳科学的に考えても、やっぱりそうなるんですね。
中野:
そのとおりです。
編集:
一方、目標が低ければ、達成できたとしても大きな喜びはないと。それも実感としてすごくわかります。
私はかつて自費出版本の編集をしたことがあるのですが、これは著者を満足させるためだけの本作りでした。原稿さえあればそれなりの形には仕上げることができるくらいの自負はあって、出来上がった本を手にした著者の喜んだ顔を見ると当然うれしさはありました。
ただ、何かしら社会へ問いかけ、その反応を得られないことに虚しさを感じたのも事実です。

中野:
主旨としてはそれと近いことかもしれませんが、たとえば、まったく泳げなかった人が5メートル泳げた場合と、25メートル泳げる人が5メートル泳いだ場合は、結果としては同じ5メートルであっても、2人の脳の中を見てみると圧倒的に前者の報酬系が活発に活動しています。
当然、もともとできることができてもうれしくないわけです。でもできなかったことができるようになるのは、やっぱりうれしく感じる。「報われる」ということを重視するのであれば、適切に目標を設定しなければなりません。
編集:結果は同じでも、人によっては感情が真逆になることもありますからね。
中野:
そうです。だからこのときに気をつけなければならないのは、誰からも客観的に見える5メートルという結果を重視するのか、それとも「やってよかった」という感情を重視するかです。どっちを選ぶかによって、脳に与えられる報酬は変わってきます。
編集:
失敗したいときによりダメージを少なく、かつ成功したときにより報酬を大きくするには「結果」と「感情」のどちらを重視すべきなのですか?
中野:
それは何とも言えません。たとえば、私が今からオリンピックに出ようとしても限りなく不可能に近いと思います。結果は伴わないでしょう。そうした無理なことに挑戦しようとするのは、有限の人生の中でははっきりいって無駄です。
一方で、結果は伴わないけれども、「やってよかった」という感情は伴うかもしれません。満足感などの感情を重視するのであれば無駄とはいえない。
編集:
結果を取るか、感情を取るか、臨機応変に変えるのも手ということでしょうか?
私の母校の高校の野球部は毎年地方予選1回戦負けなんです。それでも毎日一生懸命練習している。進学校だったものですから、「そんな練習するヒマがあったら勉強すればいいのに」って当時は思っていました。でも彼らはきっと、「3年間、大好きな仲間と一緒に野球を楽しみたい、思い出をつくりたい」という感情を重視した目標があったんでしょうね。

中野:そうですね。ただ、結果と感情、両方選択するという手もあります。
ゴールを2つ設定しておく。ちょっとズルいと思うかもしれませんが、精神的に自分を守ることにもなり、賢い方法といえるでしょう。ヒトの脳は、それをすることができる。それが許されているんです。仮に結果が出なかったとしても、みんなとがんばれて楽しかったよね、という評価ができる。
編集:
ダブルスタンダードとはちょっと違いますが、セーフティネットが働くということですね。たまにオリンピック選手がメダルを逃したときに、「全力を出し切れました。悔いはありません。楽しかったです」みたいなことをケロッと言いますが、まさにセーフティネットを働かせていたのかもしれませんね。

中野:結果を取るか、感情を取るかというのは、どちらかを重視したとしても、どちらも捨て去る必要はありません。時と場合に応じて使い分けるのが、人間のフレキシビリティであり、知恵です。
――第4回へ続く
より多くの報酬を得るにはハードルは高く。ただし、そのハードルには「結果」と「感情」の2種類がある。どちらかを重視してもいいけど、どちらも捨て去る必要はない。
非常にシンプルですが、物事や人生の目標設定において、参考になりますね。
そうした考え方に照らしあわせて、あらためて、今回の『努力不要論』をつくっているときの目標を思い出してみました。次の2つだったような気がします。
連日、このブログの場を借りて、『努力不要論』の著者・中野信子先生へのミニインタビューを掲載しております。
乃木坂46の生駒里奈ファンに見る努力の悲劇――『努力不要論』中野信子先生インタビューVol.1http://forestpub.com/archives/52160532.html
なぜ、スポ根漫画の主人公は汗をかかなくなったのか?――『努力不要論』中野信子先生インタビューVol.2http://forestpub.com/archives/52160669.html
本日は3回目。
『努力不要論』では、努力には「報われる努力」と「報われない努力」があるとし、次のように「報われる努力」について説明しています。
では無駄な努力、報われない努力をしないためにはどうすればいいのでしょうか?言い換えれば、報われる努力の方法とはどんなものなのでしょうか?答えはとてもシンプルです。目的(目標)と、それを達成するための戦略を立てる。そして、タスクを一つひとつ処理していくだけです。(中略)真の努力というのは本来、成果を出すために必要な①目的を設定する、②戦略を立てる、③実行する、という3段階のプロセスを踏むことです。――本文より
以上のように、「②戦略を立てる」の有無が報われるかどうかの要諦ということでした。

ただ、より多くの「報われた!」「やった!」という幸せ感情、報酬を得るためには、「①目標設定」をどうすればいいのか?
これは本書の中でも触れられていない疑問なので、中野先生に聞いてみました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
編集:
どうせ努力をするのであれば、やっぱり報われたいと思うのは人の常だと思いますが、報われやすい目標設定のコツはありますか?
中野先生(以下、敬称略):
コツはありますよ。
ただ、まずはどのようなときに、人は「報われた」と感じるかについて考えてみてください。
編集:そうですねえ……。私の場合は、やっぱりこういう仕事をしているので、つくった本がベストセラーになってくれたら「報われた!」と思いますね。
それも思い入れがあって苦労した本だったらなおさらです。棚ボタじゃないですけど、全然期待していなかった本でも、やっぱり売れればうれしいですけどね。
中野:
今はベストセラーを出すのは昔よりも大変だって聞きますからね。
編集:そうなんですよ。ビジネス書だと「3万部売れればベストセラー」なんて言われるくらいにハードルが下がりました。下がったと言ってもこれがまたなかなか越えられない壁なんですが。
中野:
おっしゃるとおりですね。当たり前ですが、すぐに達成できてしまう目標であるほど、報酬の反応は弱くなります。だから大きな「報われた感」を得るには、適度なストレスをかけ、自分が何かを成し遂げたという実感を得なければなりません。すると、ようやく脳の報酬系が大きく活動するようになります。
編集:
目標が大きければ大きいほど、達成できたときのうれしさも大きいのは想像出来ましたが、脳科学的に考えても、やっぱりそうなるんですね。
中野:
そのとおりです。
編集:
一方、目標が低ければ、達成できたとしても大きな喜びはないと。それも実感としてすごくわかります。
私はかつて自費出版本の編集をしたことがあるのですが、これは著者を満足させるためだけの本作りでした。原稿さえあればそれなりの形には仕上げることができるくらいの自負はあって、出来上がった本を手にした著者の喜んだ顔を見ると当然うれしさはありました。
ただ、何かしら社会へ問いかけ、その反応を得られないことに虚しさを感じたのも事実です。
中野:
主旨としてはそれと近いことかもしれませんが、たとえば、まったく泳げなかった人が5メートル泳げた場合と、25メートル泳げる人が5メートル泳いだ場合は、結果としては同じ5メートルであっても、2人の脳の中を見てみると圧倒的に前者の報酬系が活発に活動しています。
当然、もともとできることができてもうれしくないわけです。でもできなかったことができるようになるのは、やっぱりうれしく感じる。「報われる」ということを重視するのであれば、適切に目標を設定しなければなりません。
編集:結果は同じでも、人によっては感情が真逆になることもありますからね。
中野:
そうです。だからこのときに気をつけなければならないのは、誰からも客観的に見える5メートルという結果を重視するのか、それとも「やってよかった」という感情を重視するかです。どっちを選ぶかによって、脳に与えられる報酬は変わってきます。
編集:
失敗したいときによりダメージを少なく、かつ成功したときにより報酬を大きくするには「結果」と「感情」のどちらを重視すべきなのですか?
中野:
それは何とも言えません。たとえば、私が今からオリンピックに出ようとしても限りなく不可能に近いと思います。結果は伴わないでしょう。そうした無理なことに挑戦しようとするのは、有限の人生の中でははっきりいって無駄です。
一方で、結果は伴わないけれども、「やってよかった」という感情は伴うかもしれません。満足感などの感情を重視するのであれば無駄とはいえない。
編集:
結果を取るか、感情を取るか、臨機応変に変えるのも手ということでしょうか?
私の母校の高校の野球部は毎年地方予選1回戦負けなんです。それでも毎日一生懸命練習している。進学校だったものですから、「そんな練習するヒマがあったら勉強すればいいのに」って当時は思っていました。でも彼らはきっと、「3年間、大好きな仲間と一緒に野球を楽しみたい、思い出をつくりたい」という感情を重視した目標があったんでしょうね。
中野:そうですね。ただ、結果と感情、両方選択するという手もあります。
ゴールを2つ設定しておく。ちょっとズルいと思うかもしれませんが、精神的に自分を守ることにもなり、賢い方法といえるでしょう。ヒトの脳は、それをすることができる。それが許されているんです。仮に結果が出なかったとしても、みんなとがんばれて楽しかったよね、という評価ができる。
編集:
ダブルスタンダードとはちょっと違いますが、セーフティネットが働くということですね。たまにオリンピック選手がメダルを逃したときに、「全力を出し切れました。悔いはありません。楽しかったです」みたいなことをケロッと言いますが、まさにセーフティネットを働かせていたのかもしれませんね。
中野:結果を取るか、感情を取るかというのは、どちらかを重視したとしても、どちらも捨て去る必要はありません。時と場合に応じて使い分けるのが、人間のフレキシビリティであり、知恵です。
――第4回へ続く
より多くの報酬を得るにはハードルは高く。ただし、そのハードルには「結果」と「感情」の2種類がある。どちらかを重視してもいいけど、どちらも捨て去る必要はない。
非常にシンプルですが、物事や人生の目標設定において、参考になりますね。
そうした考え方に照らしあわせて、あらためて、今回の『努力不要論』をつくっているときの目標を思い出してみました。次の2つだったような気がします。
目標A(結果)◎自他ともに認めるベストセラーにする。
目標B(感情)◎中野先生のこれまでのご著書とはひと味違うものにする。◎中野先生にしか書けない本にする。◎(本書に限った話ではないが)読み応えのある1冊にする。毒にも薬にもならない本にはしない。
目標B(感情)は達成できたと自負しており、それなりの満足感はあります。
残るは目標A(結果)を達成することですが、今のところおかげさまで順調です!
次回は最終回、テーマは「努力は3週間で報われる!?」
です!
どうぞ、お楽しみに!
▼ 中野信子先生最新刊『努力不要論』好評発売中!
目標B(感情)◎中野先生のこれまでのご著書とはひと味違うものにする。◎中野先生にしか書けない本にする。◎(本書に限った話ではないが)読み応えのある1冊にする。毒にも薬にもならない本にはしない。
目標B(感情)は達成できたと自負しており、それなりの満足感はあります。
残るは目標A(結果)を達成することですが、今のところおかげさまで順調です!
次回は最終回、テーマは「努力は3週間で報われる!?」
です!
どうぞ、お楽しみに!
▼ 中野信子先生最新刊『努力不要論』好評発売中!
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